いよいよ仙台社会保険病院へ
2010年11月30日(火曜日)、この日の午後2時に堀田先生の外来を予約できたので仙台へ向かう。これまで通っていた大学病院には、転居するという名目で紹介状を用意してもらっていた。"うそも方便" というやつだ。当日は診察前に検査を受ける必要があるということで、早めに仙台社会保険病院に到着。正午くらいに1階の新患受付を済ませた後、2階にある腎センター外来の受付へ向かう。待合室には15人くらいの患者さんが座っていた。腎センター外来の受付を済ませてから、診察前の検査として以下の検査を行った:
- 血圧
- 採血
- 採尿
- エコー
- 心電図
- レントゲン
「あなたは真面目な人なんだね」
IgA腎症の場合、経過観察となると採血や採尿をしても数値がそんなに大きく変わるわけではない。数値に多少の上下や増減はあっても大きな変化がないことに加えて、痛みのような自覚症状といえるものが全くないため、途中で "ドロップアウト"してしまう、つまり 通院をやめてしまう患者さんが多いらしい。そんな中、16年も定期的に通院し続けた自分のような患者は珍しいのだとか。「うん、治るよ」
恐る恐る「堀田先生からご覧になって、私のIgA腎症はどういう状態なのでしょうか?」という質問に対して、間髪入れずにこの言葉が返ってきた。あまりにも軽くあっさりとそう言われたので、面喰ったというか、思わず「え?」と聞き返してしまったくらい。その根拠として、以下の点を挙げていただいた:- eGFR の数値を見るかぎり、腎機能は正常の8割程度はまだ機能している
- クレアチニンの数値も悪くなっていない(ずーっと、0.80前後)
- たしかに尿潜血や尿蛋白は出ているが、まだ少量で落ち着いている
- エコーの結果、腎臓が硬くなったりもしていない
「普通に生活できるよ」
これは、ステロイドパルス療法での副作用について質問したときの答え。実は3ヶ月後(2011年3月)に仕事で米国出張を控えていた。そのため、篇摘パルスの実施を急がなくてもよければ、帰国後の4月にと考えていた。ブログなどでは、"ステロイド剤を投与されている間は、免疫力が下がるため海外旅行などは避けるべき" といった情報をよく目にしていたからだ。しかし、堀田先生はこれまた間髪入れずに、「大丈夫だよ。パルスした後だって海外にも行けるし、普通に生活できるよ。副作用とかは任せてくれれば大丈夫だから」と。
「私の患者さんは機械やコンピュータではなく、人間だからね」
これが一番印象に残った言葉だった。ステロイドの話の続きで、堀田先生はこのようなことをおっしゃった。つまり、堀田先生ご自身や仙台社会保険病院には、20年以上に及ぶ経験がある。ステロイドに関しては、使い方をよく知らないと副作用が出てしまうことがあるし、最初のころは試行錯誤しながらだったようだ。「だって、機械を直すんだったら医者なんていらないじゃない。」つまり、ステロイドの副作用は、患者によってさまざま。だが、この病院は、どんなことにも対処できるだけの経験を積んできているということだろう。
こちらが不安に思っていたことは、すべて即答で問題がないことがわかった。というより、堀田先生と仙台社会保険病院に任せておけば安心だなと感じた。
「なぜだか分かる?」
堀田先生に質問されて、結局最後まで答えが見つからなかったものがある。「なぜ篇摘パルスがまだ広く一般に普及していないか分かる?」という質問だ。仙台社会保険病院では、堀田先生が1988年から開始しており、「もしあなたが仙台に住んでたら、95年にIgA腎症って分かった時点ですぐ治ってたよ」とも言われた。そう言われると、この16年間は何だったのかという思いにもなる。この質問の答えは、機会があれば、堀田先生に直接教えてもらってください。篇摘パルスという治療法は確実に成果を上げてきていて、その効果が証明されているのにもかかわらず、まだこの治療法に頑なに反対する医師もまだ少なくないらしい。一つだけ言えることは、そこには患者不在の論理がまかり通っているということだ。
腎生検を年内に仙台社会保険病院で実施
ひと通りの診察を終えたところで、今後の治療計画について相談する。自分としては、堀田先生に全てお任せして、必要な入院も治療も全て仙台社会保険病院にお願いしたいことを伝えた。「じゃ、がんばりましょう!」ということで、まずは腎生検を行うことに。扁桃摘出とステロイドパルス療法の前に、IgA腎症であることを再確認する必要がある。たしかに、前回の腎生検はもう15年以上も前のことだし、今現在自分の腎臓がどういう状態なのかをこの機会にきちんと確認しておきたいと思う。年内に行えるように日程を調整いただき、12月20日入院、22日に腎生検、退院は年明けの1月3日頃ということに決まった。
さあ、17年目のリセットだ。扁摘パルスでまずは「寛解」を目指します!
行きの新幹線は、期待と不安が混じっていた。どちらかというと、不安のほうが大きかった。しかし、帰りの新幹線は期待でいっぱいだった。もちろん100%確実ではないと思っているが、堀田先生から寛解できるという言葉をいただいたのだから。この続きは、「2010年12月20日投稿:入院(腎生検)1日目」 でどうぞ。