その2: 15年以上の経過観察|16年目までの経緯

約15年間に及んだ定期的な通院による経過観察

検査入院の結果、慢性腎炎のIgA腎症の初期であると診断され、その後は月1回ペースで通院しながら経過観察することに。通院日には毎回尿検査で数値をチェック。数年前からは3ヶ月に1回くらいは血液も検査するようになり、尿の蛋白や潜血などの数値が比較的安定していることから、ここ最近は通院日も3ヶ月に1回となっていた。

IgA腎症の場合には、主に尿の蛋白や潜血をチェックしていく。今振り返ると、これが自分の身体をケアする意識付けになり、逆に尿検査や血液検査の数値からは、他の生活習慣病などの前兆は全く見られないというお墨付きをもらえていた。また、人間ドックでもすべての検査結果において異常なしだったりして、腎機能だけが標準より少し落ちている。でも、状態としては安定している、という認識でいた。薬は何度か変わったりもしたが、基本的には従来のIgA腎症の治療において定番だったコメリアンとニューロタンを投与されてきた。

あとは、食事する際には、タンパク質や塩分を可能なかぎり控えめにするように意識した。例えば、ポテトチップスを買うにしても、パッケージ裏面の成分表示を見て、塩分量が1.0グラムと0.8グラムの2種類があったら、0.8グラムのほうを買うとか。ドレッシングを買うときも、レトルトカレーを買うときもそう。コンビニで弁当を買うときには、タンパク質が少なめのものをできるだけ選ぶとか。そんなふうに意識していたとはいえ、基本的には食べたいものを食べていたかも。

「扁桃」? 「ステロイド」? 一体、何の話?

そのまま検査結果の数値に大きな変化がないまま15年以上が経過する。しかし、今年(2010年)の11月に状況が急変。いつものように通院すると、主治医から思わぬ言葉をかけられる。

「そういえば、扁桃ってまだ摘出してませんよね?」
「ステロイド治療もやってないんでしたっけ?」

唐突に出てきた「扁桃」や「ステロイド」という言葉に呆気にとられていると、続けざまにこう言われた。

「もう一度、腎生検やりましょう。それから、扁桃もとってしまったほうがいいと思うので、来月耳鼻科の予約とっておきますね。」

え、また腎生検やるの? 来月は耳鼻科? 一体、何の話?? もうそんな状態。思えば、この大学病院、ここ数年は毎年のように主治医がコロコロ変わっていた。それまでは、それだけ状態が安定しているから、若手の医師に経験積ませるためだろうとか勝手に解釈していた。が、この話を聞いた途端、正直なところ不信感が湧いてきた。

IgA腎症による腎機能の低下は "停止" できる

その日、自宅に帰ってから、Googleで検索してみた。キーワードは、「IgA腎症」、「扁桃」、「ステロイド」など。するとそこには、それまでの自分のIgA腎症の治療に対する認識とは異なる情報が溢れていた。

15年前、主治医はたしかにこう言った。

「IgA腎症は治らない病気だから、将来透析にならないように腎機能の低下を食い止めて行くしかありません。」

しかし、腎機能の低下を止めることのできる治療法があり、最近では実績も増えて全国的にも普及しはじめているという。それが、このブログのタイトルにもなっている「扁摘パルス」、つまり「扁桃」を摘出して、「ステロイド」によるパルス療法を行うというものだった。(「その3: 扁摘パルスを決意」へ続く)。