2011年6月22日水曜日

退院(扁桃摘出) : 扁桃摘出手術をふりかえる

仙台赤十字病院で扁摘してよかった

ズバリ、仙台で扁摘するなら「仙台赤十字病院」は私が自信を持ってお薦めします!

写真:病室窓から外の風景。緑が多い。被災したため、屋根にはブルーシートがかかっている家もある。
入院病棟6階にある病室の窓から見える風景。

もちろん、他の病院で扁摘したことがあるわけではない。比較してどうこうではなく、いい病院だったなというのが正直な感想。扁摘の入院は、事前にいろいろな体験談を読んだりして、かなり大変な入院になりそうだと覚悟していた。でも終わってみれば、拍子抜けといってよいくらいラクだった。というか、それなりに大変だったかもしれないけど、想像していたほどではなかった。

仙台社会保険病院で扁摘ができないため、紹介されたのが仙台赤十字病院。仙台社会保険病院で扁摘ができないと知ったときは、別の病院で扁摘するのは正直面倒だなと思った。でも、仙台赤十字病院の耳鼻咽喉科の松谷医師は、「扁摘パルス」を発案した堀田医師に協力して扁摘を担当していたとか。いわば、"扁摘パルスの母" といってもよい存在。扁摘パルスのルーツを探るようで、いい経験ができてよかった。

「仙台赤十字病院で扁摘してよかった」と言える理由は、それ以外にもある。あっという間に終わった8泊9日の入院。ウエちゃんの扁摘をふりかえってみよう!

東日本大震災により延期となった扁摘手術

当初の予定では、4月1日から入院する予定だった。しかし、3月11日にあの東日本大震災。3月下旬に仙台赤十字病院から「被災者対応を優先したいので延期させてほしい」と電話があった。

それ以前に、東北新幹線、JR在来線と東北自動車道が不通、仙台空港も閉鎖していたため、東京から仙台に行く手段がなかった。そこで、東北新幹線が運転を再開してからスケジュールを組み直して、6月13日からの入院となった次第。

入院当日は朝9時30分までに行かなければならなかったので、前日に仙台入りして一泊することに。たまたま宿泊先のホテルにレンタル自転車があることを知り、被災地を自分の目で見てみたくて行ってきた。仙台社会保険病院の堀田医師からも「日本人として、一度見ておいたほうがいいよ。」と言われていたし。

写真:津波で全てが流し去られた跡に積みあがった瓦礫の山とペチャンコになった軽自動車。その脇には日の丸の旗が力強く風になびいていた。
仙台駅から自転車で東へ30分くらいの仙台市若林区荒浜地区
(海岸線から1.5kmあたり)

あれから、もう3ヶ月だよ、3ヶ月。普通に暮らしていただけなのに、家ごと根こそぎ流し去られてしまうなんて...。言葉が出てこない。

実際の扁摘は、拍子抜けするほど "楽勝" だった!?

9日間の入院を終えた今だからこそ言えるのかもしれない。結果的には "楽勝" だったと。というのも、入院するまでの間に、いろいろな人の辛かった体験談を読んでいたからだ。
  • よくある体験談(1)「手術後に鏡で自分の顔を見てビックリ! 口角が裂けちゃってました...。」
    • ウエちゃんの場合: 冬とかに乾燥すると口角が裂けることもたまにあるので心配していたけど、口角は裂けなかった。
  • よくある体験談(2)「術後はとにかく痛かった!」「術後の夜は眠れずに一晩過ごしました。」
    • ウエちゃんの場合: 術後はさほど痛みを感じなかった。痛みを感じたのは翌日以降の食事のときだけだったかな。
  • よくある体験談(3)「術後すぐは痰が出まくるのでティッシュが必需品。一晩でティッシュ一箱使い切っちゃいますよ!」
    • ウエちゃんの場合: 痰はほとんど出ずじまい。ティッシュも二箱用意したが、結局10枚も使わずじまいだった。
  • よくある体験談(4)「出血した血を飲んでしまって、吐き気がして嘔吐しちゃった・・・。」
    • ウエちゃんの場合: 血を飲んでしまうことがなかったので、嘔吐はもちろん、吐き気もしなかった。
  • よくある体験談(5)「舌(または唇)が腫れていた!」「口内炎が出来てツラかった...。」
    • ウエちゃんの場合: 腫れたりもしてなかったし、口内炎も出来なかった。
  • よくある体験談(6)「1時間かけてどうにか完食」「お腹空いてたけど、ごはん食べるのあきらめました...。」
    • ウエちゃんの場合: プチトマトをあえて残した以外は全て完食! しかし、たしかに時間はかかった。術後の数日間は、毎食10分過ぎに心が折れそうになった。

信頼できる医師と安心できる看護師

入院10日前の術前検診でも主治医は松谷医師。堀田先生からも「松谷先生はね、きれ~いに摘出してくれるから心配しなくていいよ。すごく腕がいいから。」と教えてもらっていたので安心していた。ところが、入院してみると、主治医は松谷医師だけでなく、石戸谷医師、本間医師の3名。いわゆるトロイカ体制(?)

そして、手術の執刀医は本間医師だとのこと。正直、一瞬、え?と思ったけど、本間医師の診察を受けて不安はなくなった。説明がとても分かりやすい。質問に対して的確に回答してくれる。テキパキとした感じ。実際、手術は1時間もかからずに終わったし、摘出した跡もキレイで、術後の経過も良好だった。

さらに、看護師をはじめとするスタッフの皆さんもよかった。ケアが行き届いていて、何一つ不安な気持ちになることはなかった。しっかり教育もされているんだろうけど、一人ひとりの意識もレベルが高いんだろうな。お世話になりました! ありがとうございました!

全身麻酔で夢を見ていたのは気のせいか?

全身麻酔は昨年12月の腎生検以来で2回目。一度経験しているから、今回は特に不安もなく。ただ、手術室への入り方や手術台で仰向けになってからの流れが、仙台社会保険病院のそれとは少し違った。

でも、「では、麻酔のお薬入れていきますね~」と言われてからの秒殺は同じ。そして、「聞こえますか~? わかりますか~? もう終わりましたよ~!」というような声が聞こえてきて目覚めたのも同じ。その間の体感時間が2秒くらいだったのも同じ。

起こされてすぐに「あ、もう終わったんですか?」「ありがとうございました!」みたいなリアクションだったので、たしか執刀医の本間医師から「何だかとても爽やかな麻酔の覚め方だね(笑)」と言われたのを覚えている。

しかし、昨年12月と違ったのは、今回夢を見ていたような記憶があること。その内容までは覚えていないが、プロレスラーの杉浦 貴(プロレスリング ノア)の姿を見ていたところを起こされたのだ。ま、どうでもいいと言えば、どうでもいいか。

導尿管への抵抗が薄れ始めてきた自分...

ある意味、入院前はコレが一番イヤだった。導尿管(カテーテル)は、ベッド上で絶対安静のときの排尿手段として、アソコに管を入れるんだけど...。1995年3月の腎生検で初体験。昨年12月の腎生検で約15年ぶり2回目。もう一生やらないだろうと思っていたら、扁摘でも一晩ベッド上で安静なのでやるとかで、まさかの半年ぶり3回目...。

「二度あることは三度ある」、昔の人はよく言ったものだ。

ただ、3回目は今までで一番ラクだった。2回目に続き今回も全身麻酔中に管を入れるので、麻酔も何もかけてくれなかった初回と比べれば全く無問題。で、装着中も今回はそんなに苦ではなかった。絶対安静ではないので、寝返りも自由にできたからかもしれない。

しかし! 抜くときは麻酔がかかっていない。看護師さんに「じゃ、おしっこの管とバルーン抜きますね~。はい、息を大きく吸ってからゆっくり吐いてくださ~い。」と言われ、息を吐いている間にスーッと抜かれる。だが、今回は前回ほどの悶絶はなかった。あれ、意外とスンナリ。

写真:排尿後の尿を蓄積する透明のバッグ
導尿管で排尿された尿はベッド脇のバッグに蓄尿されていく


術後の食事は自分との闘い

術後の食事は、術後2日目から飲み込むときに痛みを感じるようになった。3日目~4日目あたりがピークだったろうか。ただ、扁桃を摘出した跡のかさぶたではなく、まず舌の付け根が痛むようになり、後から耳の奥あたりも痛むようになった。いつも食べ始めてから10分後くらいに心が折れそうになった。食べることでこんなに苦しむのは、生まれて初めてのことかも。

痛みを少しでも感じないように、よく噛んで食べるようにした。というか、そうしないと食べられないし。よく噛むことは、口の周りの筋肉を使うことになり、IgA腎症患者に多い口呼吸を鼻呼吸に矯正していくトレーニングにもなる。そんなこともモチベーションにしながら、入院中の食事は "レッドデビル(赤い悪魔)" を除いて、全て完食できた。

俺の心をへし折ったプチトマト

「よく見破ったな、タケちゃんマン!」のブラックデビルならぬ、レッドデビル。その正体は、プチトマト。術後4日目の夕食時に悲劇は起きた...。

写真:レッドデビルこと、プチトマト


扁摘入院中の必須アイテム筆頭はマスク


写真:「フィッティ オメガプリーツ 7DAYSマスク 使いきりタイプ」のパッケージ
冬場とか乾燥する季節には "ぬれマスク" がいいかも

手術前に風邪をひかないため、そして手術後は喉の乾燥を防ぐために、マスクは欠かせない。特に術後は寝るときもマスクをしたまま。入院前に読んだ体験談の多くに、「朝起きた時が一番痛い。」、「病院は乾燥しているから要注意。」と書かれていたからだ。もしかすると、術後の痛みがさほどではなく、経過も順調だったのは、そのおかげかもしれない。

お願いランキング「扁摘におすすめのスイーツを知りたーい!」

術後2日目くらいから、病院食だけでは物足りなくなってきた。そこで、差し入れや病院の売店で極秘入手(?)した "扁摘スイーツ" を食することに。術後の味覚障害などもなく、スイーツの味をそのまま堪能できた。事前にいろいろな人の体験談でも情報は入手していたが、実食してみてのランキングを発表しよう:
第1位:プリン
食後または15時のおやつに最適。これはもうガチでしょう。カスタード、いちごチョコ、バナナ、マンゴーなど、いろいろな味にトライしたが、やっぱり一番はカスタードプリンかな。次が無印良品のバナナプリン。これはウイダーインゼリーみたいに、チューチュー吸うタイプ。
 
第2位:ウイダー in ゼリー エネルギーイン(マスカット味)
食事の最後の一品に最適。愛用したのは、マスカット味のエネルギーイン。たぶん、グレープフルーツ味のマルチビタミンインは、やめておいたほうがよいかと...。
 
第3位:杏仁豆腐
おやつに最適。これはもともと好きなスイーツ。プリンと比べると空腹が満たされる感が若干劣るので、あくまでもおやつ扱いかん。

人生初の大部屋(4人部屋)

写真:入室したときは無人だった4人部屋

入院はこれが3回目。95年の初回はたしか二人部屋。昨年12月の2回目は個室。そして、今回もノートPCで仕事したいので個室を希望したいところだったが、続けてステロイドパルスもやるし、扁摘の術後はそんなに仕事している余裕もないだろうってことで大部屋に。

どんな部屋だろう? 同室はどんな人たちだろう? と不安をかけながら、案内された部屋に入ると・・・、あれ? 誰もいない? そう、4人部屋だけど個室状態でした。術後1日目に回復室から戻ってきたときには、一人(70代前半? 男性)、そしてまた一人(50代後半? 男性)、気がつけばもう一人(20代前半? 男性)と、あっという間に満室。みんな眼科か耳鼻科の患者さんみたい。

いやぁ~、寝れなかった(苦笑) 毎晩みんなで合唱会。鉄則として、「先んずれば人を制す」というけどムリ。消灯は21時なのに、20時半に勝手に消灯して寝ちゃう人もいるし。昼間もグーグー昼寝してるのによく寝れるよなぁ。アッパレ!

検査結果の数値はまだまだ "参考記録"

扁桃摘出の手術後には、一時的に尿の潜血が増える。人によっては、いわゆる "コーラ尿" 並みに、見た目にも明らかなこともあるらしい。

表: 尿(蛋白・潜血)と血液の検査数値推移
検査日      蛋白       潜血        クレアチニン       eGFR
6月3日
入院前
+1 +2 0.92 72.213
6月14日
手術直前
+- +1 なし なし
6月15日
術後1日目
+1 0.77 87.736
6月16日
術後2日目
+- +3 なし なし
6月17日
術後3日目
+1 なし なし

  • 尿蛋白:術後にほぼ-(マイナス)になっている
  • 尿潜血:術後に一度だけ+3になっているが、一時的なもので想定内
  • クレアチニン:0.92から0.77へ
  • eGFR:72.213から87.736へ
ざっと、こんな感じだろうか。eGFRの妙に改善されているというか、数値が上がっているのはなぜだろう? クレアチニンとeGFRの数値はちょっと怪しいな...。転院したら確認してみようっと。

入院中の尿潜血は、ほぼ「+1」ベースだったが、術後2日目だけ「+3」と上昇。翌日からはまた「+1」に戻った。術後2日目をピークに、尿潜血が増える患者さんが7~8割程度いるとされているが、まさにその典型的なパターンだったようだ。
尿蛋白が「-(マイナス)」で推移したのが意外だった。堀田医師から「扁摘パルスで潜血は消せると思うけど、蛋白まで消せるかどうかだね。」と言われていたので。ま、もちろん悪い数字ではないが、もうしばらく推移を見守っていこう。内心嬉しいことは確かだけど、一喜一憂はよくないからね。

続けてそのままステロイドパルスへ いざ仙台社会保険病院へ!

というわけで、扁摘手術を無事終えて仙台赤十字病院を退院。そのままタクシーで仙台社会保険病院へ移動して転院。これからはステロイドパルス治療のスタート。扁摘は痛み、ステロイドパルスは副作用との闘いというイメージがあるが、どうなりますことやら。

それでは、アディオス、アミーゴス!

5 件のコメント:

  1. おつかれさまでした(^-^)
    すごい分かりやすいですね!
    やっぱプリンとウィーダーインゼリーはガチですね!
    杏仁豆腐は思いつきませんでしたが完全にアリですね。
    ってもう扁桃腺摘出することもないんですけど(笑)

    レッドデビルは強敵でございますね。
    それにしてもよさそうな病院ですね。とにかく、術後にティッシュ箱つかいきらないほどの軽さだったとはうらやましい限りです・・・。

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  2. Maaさん、コメントありがとうございます!

    しかも、このブログへのコメント第一号です。
    重ねて御礼申し上げます <(_ _)> ペコリ

    > すごい分かりやすいですね!

    ホントですか? 恐縮ですっ!!

    ええ、もう摘出する扁桃はありませんが、もし次回があるとしたなら、プチトマトだけは絶対に食べないと心に固く誓っております。ま、次回はもうないんですけどね(笑)

    「扁摘パルス」という治療法があることを知ったのが昨年11月。ウェブで検索して情報収集したときに、いろいろなブログでの体験談がとても参考になり、扁摘パルスで治療する決意を固めました。そして、自分も経験者の一人として、自分の体験を伝えていけたらと思ってこのブログを始めました。

    そんなふうに後押ししてくれたブログの一つが、Maaさんのブログだったんです。

    というわけで、まだまだ数は少ないこのブログの読者の皆さんにもご紹介させていただきます。

    IgA腎症の日記 | Diary of IgA

    [どこかの予備校TVCMの講師風に・・・]
    まだご覧になったことがないというアナタ、じゃいつ見るんですか? 今でしょ~!?[謎]

    というわけで、オススメです!(笑)

    Maaさん、これからもどうぞヨロシクお願いします。

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  3. 初めまして。私は昨日から仙台赤十字病院に入院していて早くて来週には扁桃腺切除手術を行う予定です。そんな中、初めての全身麻酔、初めての手術で不安に押しつぶされそで色々考えては皆さんの体験談を拝見させて頂いてました。そしたら同じ仙台赤十字で手術を受けた貴女のブログを読んでCmtさせて頂いたんですが、扁桃腺手術後。麻酔が切れた後の痛みはかなり激しいものなんでしょうか?

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    1. 遅すぎる返信でスミマセン...。

      仙台赤十字病院に入院されていたんですね。術後はいかがでしたか? ボクの場合は、術後1週間くらいは食事がつらかったですが、時間をかけても頑張って完食していました。終わってみればアッという間のことでしたが、入院中はアイスクリームが必需品でしたね。

      匿名さんはいかがでしたか?

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  4. はじめまして。扁摘希望の20歳の女です。

    私は内科に扁摘検討と紹介状を書いてもらい、赤十字病院に行きました。ただ、診察は喉と鼻を見て、日程を組んで、時間は5分で満たなく、びっくりしてしまいました。もちろん扁摘前提で行ったので当たり前かもしれませんが。

    実は、後遺症やリスクについての話をじっくり聞いたうえで、扁摘を決めたかったのです。

    普通なのでしょうか?

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